森田当麻の奇妙事件簿
「もしもし?お兄ちゃん?もうどこ行って……」
勢い任せに電話に出た日向だったが、徐々に失速していく。
そして何回か言葉を交わすと電話をきった。
「当麻。なんだって?」
「いえ。お兄ちゃんじゃなくて優衣ちゃんです。お兄ちゃんからの伝言で財津さんと頼みたいことがあると」
「頼みたいこと?」
寝ることが趣味の当麻が人に頼み事など……珍しい。
「和樹の家の様子を張り込んでほしいって……」
和樹?
「誰だ?」
「今関わってる事件の重要人物です。……まあ、場所は知ってますし、行きましょうか」
日向が車の鍵を指で回しながら、微笑んだ。