森田当麻の奇妙事件簿
優衣の頭は混乱する。
「昨日は満潮だった。だから、より苦しめて殺すために浅瀬の岩場に紀之さんを連れていき、鉄製の鎖を首に巻き、岩に結びつける。そして……満潮時になると」
想像しただけで優衣は呼吸するのが辛くなった。
紀之は生きている状態で首を固定され、満潮の波に溺れて死んだ。
それなら、溺死というのにも、索条痕の謎もとける。
「波で外された鉄製の鎖を見つけたよ。
紀之さんの皮膚がついている」
当麻はポケットからビニール袋に入った鎖をみせた。