心做し







「汚いですけど…どうぞ」





「お邪魔します。」





「あ、お風呂、入ります?じゃないと風邪ひきますよ?」





「…じゃあ、よろしくお願いします。」





「それと、上着はこっちに置いておいてくれれば、あとで洗っておきますから!」





「…はい。」





彼女は、一体何なんだ。
家まで入れて、風呂まで入らせて、洗濯までしようと言うのか…。
女は理解しがたいな…。





「…」





「あの…。たまったら入ってください。」




「はい…。」





「あと、名前は…」





「龍馬。
あなたは?」





「私は、羽奈…です。」





「そうですか。羽奈さん。いろいろありがとうございます。」





「い、いえ!…でも、なんであんな雨の中、傘もささずに?」





「なぜでしょうね。気づいたらあそこにいたんです。」





「…記憶が、ないんですか?」





「途中までしか。
…でも、なぜ僕に声をかけたのですか。お人好し、とでもいいますか。」





「私も、気づいたら龍馬さんに声をかけていたんです。」





「…他人が自分の家に上がりこむなんて、嫌でしょう?」
< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop