心做し
「汚いですけど…どうぞ」
「お邪魔します。」
「あ、お風呂、入ります?じゃないと風邪ひきますよ?」
「…じゃあ、よろしくお願いします。」
「それと、上着はこっちに置いておいてくれれば、あとで洗っておきますから!」
「…はい。」
彼女は、一体何なんだ。
家まで入れて、風呂まで入らせて、洗濯までしようと言うのか…。
女は理解しがたいな…。
「…」
「あの…。たまったら入ってください。」
「はい…。」
「あと、名前は…」
「龍馬。
あなたは?」
「私は、羽奈…です。」
「そうですか。羽奈さん。いろいろありがとうございます。」
「い、いえ!…でも、なんであんな雨の中、傘もささずに?」
「なぜでしょうね。気づいたらあそこにいたんです。」
「…記憶が、ないんですか?」
「途中までしか。
…でも、なぜ僕に声をかけたのですか。お人好し、とでもいいますか。」
「私も、気づいたら龍馬さんに声をかけていたんです。」
「…他人が自分の家に上がりこむなんて、嫌でしょう?」