たとえば、こんな出会いと別れ。

看護師１年生。

初めての担当患者さん。

「おはようございます！」

月曜日。

今日は朝からの勤務、日勤。

ナースステーションに入って、まずは挨拶。

挨拶は社会人の基本だよね、うん。

「おはよう、椎名さん。今日も元気ね」

「はい！今日もがんばります！」

わたし、椎名つぐみは看護師になって早８か月。

「張り切って飛ばし過ぎて、息切れしないようにね」

「泉井さん。。。気をつけます」

プリセプターの先輩、泉井（いずい）さんに注意されちゃった。。。

泉井さんは、今年５年目の先輩看護師さん。

とても優秀で、指導が上手で、優しくて、時々厳しくて、おまけに美人ときている。

泉井さんの気を引こうとしているドクターや、男の看護師さん、患者さんも入れたら、かなりの人数になるらしい。

でも泉井さんには、モデル並みにイケメンな彼氏がいるんだ。

なのに全然えらそうにしない。

そんな泉井さんはわたしの憧れ。

泉井さんみたいな看護師になりたいって、いつも思ってる。

「つぐみ、情報収集が終わったら、今日のタイムスケジュールを組むのよ」

「はあい」

今まで先輩たちの後をついて回るばっかりだったけど、今日から１人で患者さんを受け持つんだ。

泉井さんがアシストにつくけど。

不安もあるけど、責任ある役割にすごくやる気が上がってくる。

「頑張るぞー！」

この日出会った、初めて担当する患者さんが、始まったばかりのわたしの看護師人生に大きく関わるなんて、思いもしなかった。