Le Petit PrincesseII

心の傷

「ごめんね、手伝ってもらって。」


クリスティーナは家を出ると、そう言った。


「いや、むしろご馳走してもらって申し訳ない。それに寮もすぐそこだし、送ってもらわなくても…。」


「私がそうしたかったの。それに、一つ聞きたい事があったから。」


クリスティーナは真っ直ぐにエドガーを見据えた。


「…私の家、貧乏だったよね…?それでも…友達でいてくれる?」


クリスティーナは不安げに瞳を揺らした。

なぜそんな事を聞くのだろう。


「友達でいるだけの事に、なぜそんな事を気にする?」


エドガーは不思議そうに言った。


「よかった!エドガーは気にしないでいてくれるのね!」


クリスティーナの表情は一気に明るくなった。


「私、小さい頃に友達ができたの。でも身分が違い過ぎたのね…きっともう二度と遊べないわ。」


「…まさか、あの時の事をまだ…?」


「えっ?」


「あ、いや…その時の友達の事、恨んでいたりしないのか?」


「恨むなんてそんな!…ただ、その男の子を迎えに来たお城の人は…。」


”馴れ馴れしくその汚い娘をルドルフ様に近付けるでない!”


エドガーはあの時の城の者の言葉を思い出した。
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