Le Petit PrincesseII

「ホウキって言うのは魔法と同じ事で、イメージする事が大事なの。
例えばエリックさんの姿になる魔法なら、エリックさんになった自分を強く想像する。それだけでいいのよ。
ホウキも同じで、飛んでいる自分を強く想像する事が大事なの。とても簡単な事なんだけど、これが飛ぶまでは難しいのよねー。」



ビアンカはそう言って渋い顔をした。



「まぁ、やってみないと分からないわ！
みんな、足元に置いてあるホウキを手に持って！」



ビアンカに言われると、生徒はみんなホウキを拾って手に持った。



「それにまたがって飛んでる自分をイメージしてみて！」


そう言ってビアンカは飛び立ち始めた。



だが、まだ飛んでいる生徒は誰一人いなかった。



「うーん、難しいかしら？それじゃあ、飛んでいる景色をみんなに見せてあげるから目を閉じて！」



ビアンカはそう言って目を閉じて、生徒全員に向かって手をかざした。

生徒も目を閉じる。





すると、ステファニーの脳裏には空を飛んでいる景色が見えてきた。


どんどん遠くなって行く地面。浮遊感や風まで感じる事ができた。



ーー空を飛ぶって、こんな感じなのね！



「さぁ、目を開けていいわよ！みんなも今のイメージを頭に浮かべてやってみて！」


言われると、生徒はホウキに乗って飛び始めた。



ステファニーもさっきの景色を思い浮かべながらホウキに乗ると、身体が急に軽くなり、地面からどんどん離れる事が出来た。


乗ってしまうと意外に簡単で、上下左右も自由自在だった。

ステファニーはつい時間を忘れてホウキに乗っていた。






「楽しいのは分かるけど、そろそろ授業も終わるわよー！みんな、降りてきなさいー！」



ビアンカの声で生徒が降りて来ると、ビアンカは説明の続きを始めた。



「ホウキに乗るなんて簡単でしょう？
実はホウキ以外の物でも空を飛ぶことができるけど、"魔法使い＝ホウキ"って言うイメージが定着していただけなの。
どこかの国の魔法使いなんて、デッキブラシで空を飛んだくらいなのよ？
まぁ、今日の所はこれくらいね。しっかり復習するようにね。」


ビアンカが締めの言葉を言うと、ちょうどよくチャイムも鳴った。