Le Petit PrincesseII
人魚の中の掟
二人はまた、あの小さな家に来ていた。
箱の前で呼び出す時の歌を歌い、中から男が現れた。
「今日はどんな御用で?」
男が聞くと、エリックはすぐさま答えた。
「おじさん、人魚って人間にできる?」
男は難しい顔をして固まってしまった。
だがしばらくすると、また口を開いた。
「人魚を人間にすることは可能ですが、やはり声と引き換えにしなければならないようですね…。」
「でも怖い魔女に頼まなかったらできるんじゃないんですか?」
「…残念ながらその掟を作ったのは怖い魔女であり、作ってしまったからには他がどんな魔法を使って人間にしようとしても、声を失わなければならないのです。
3日目の日没までにキスされれば声は戻ってきますが、失敗すれば海の泡になってしまいます。」
「あ、でもヴァレンティーヌは吸血鬼に恋したんだし、吸血鬼になるならその条件は当てはまらないんじゃないかしら?」
「吸血鬼になるならば、声の他に聴覚も失う事になりますね…。」
「…えっ?」
「人間よりも強い力を持つ吸血鬼の場合だと条件はさらに厳しくなってしまいます。」
「…じゃあどうすれば…?」
「やっぱりヴァレンティーヌには人魚のまま頑張ってもらうしかないんじゃないかしら?」
「…そうだよね。」
「おじさん、ありがとうございます!」
「いえ。また困った事があればいつでも来てくださいね。」
男はそう言うと、また箱の中に入っていった。
箱の前で呼び出す時の歌を歌い、中から男が現れた。
「今日はどんな御用で?」
男が聞くと、エリックはすぐさま答えた。
「おじさん、人魚って人間にできる?」
男は難しい顔をして固まってしまった。
だがしばらくすると、また口を開いた。
「人魚を人間にすることは可能ですが、やはり声と引き換えにしなければならないようですね…。」
「でも怖い魔女に頼まなかったらできるんじゃないんですか?」
「…残念ながらその掟を作ったのは怖い魔女であり、作ってしまったからには他がどんな魔法を使って人間にしようとしても、声を失わなければならないのです。
3日目の日没までにキスされれば声は戻ってきますが、失敗すれば海の泡になってしまいます。」
「あ、でもヴァレンティーヌは吸血鬼に恋したんだし、吸血鬼になるならその条件は当てはまらないんじゃないかしら?」
「吸血鬼になるならば、声の他に聴覚も失う事になりますね…。」
「…えっ?」
「人間よりも強い力を持つ吸血鬼の場合だと条件はさらに厳しくなってしまいます。」
「…じゃあどうすれば…?」
「やっぱりヴァレンティーヌには人魚のまま頑張ってもらうしかないんじゃないかしら?」
「…そうだよね。」
「おじさん、ありがとうございます!」
「いえ。また困った事があればいつでも来てくださいね。」
男はそう言うと、また箱の中に入っていった。