Le Petit PrincesseII
ステファニーの探している二階は部屋が多く、一つ一つドアを開けて確認するのは大変だった。



「…誰も使ってない部屋が何でこんなに多いの…?」


ステファニーはため息混じりにそんな事を呟きながら、今度は他の部屋よりも少し豪華な部屋の扉を開けた。

すると、そこにはブライアンと同じ年くらいの男がベットに座っていた。
仕立てのいい服を着ているところから、恐らく使用人ではなさそうだ。



「あ、すいません。…あの、赤い髪の女の子とか見かけてませんか?」


「…それを教えたら何かしてくれる?」


男はグレーの瞳を怪しく光らせた。


「…からかわないでください。見てませんか?」


ステファニーが少し口調を強めると、男はステファニーの腕を引っ張った。


「…君、人間でしょ?匂いで分かるよ?」


男はそう言うと、ステファニーの腰の辺りに手を回した。


「離してください…!」


ステファニーが身体を反らせると、今度は手で頭の後ろを支えて離れられないようにした。

ステファニーの首筋に唇が触れようとした時、男は何かに反射してステファニーから離れた。


「…お前、魔法の使える人間だったのか!」


男は舌打ちをしながらそう言った。

腕から解放されたステファニーは、男が怯んでいるうちに部屋を飛び出した。
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