Le Petit PrincesseII

大きな間違い

だが次の瞬間、そこにヴァレンティーヌはいなかった。


「…やっぱり…」


ステファニーの声は震えていた。


ブライアンの目の前にいたのは、年老いた魔女だった。


「…あの子も可哀想にねぇ。こんな愚かな王子のせいで、今までの子達と同じ運命を辿ることとなったんだから。」


魔女はブルブルと震えているブライアンを見て、意地悪く口角を上げた。


「契約通り、あの子には海の泡になってもらわなきゃねぇ…」


そう言うと、魔女は自分の首から下げている宝箱の形のペンダントを手に持った。


「あんたたちの言う通り、あの子は今砂浜の上の銅像になってるんだよ?」


魔女は砂浜にあったはずのヴァレンティーヌの銅像を目の前に出し、ペンダントのフタを開けた。


すると、ヴァレンティーヌの銅像はあっという間に宝箱の中へと吸い込まれた。
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