Pastel Lover
俺の目は、自然とそちらへ向かう。
上靴の色は緑。2年の証拠だ。
柔らかそうな短髪が、差し込んだ陽で茶色に透けている。少しつり目がちの、背の高い男子生徒だ。
画材を取りに行っていたんだろう。手には、種類の違う筆やら、多色の絵の具が握られていた。
「...あれ。1年?」
俺の存在に気がついたその人は、目を丸くしてそう言う。俺は一瞬どきりとして、それから控えめに頷いた。
「...はい。仮入部の見学に」
言わなくても、わかっていたと思うが。
念のために告げると、その人の目はキラキラと輝いた。そして、なおも真剣な面持ちで描き続けている彼女へ、声をかけた。
「ほしの!見学者来たぞ!」
ほしの、と呼ばれた彼女は、やっと気づいたようで、手を止めてゆっくりとこちらを向いた。
それでまた、俺は息を呑んだ。