Pastel Lover
「こっちだよ」
電車を降りて、先輩の行きたいという喫茶店へ彼女の後をついていく。近くの商店街を突き進んでいく。少し歩いたところに、レトロな雰囲気の漂う小さな喫茶店があった。
「ここですか?」
「うん、ここ!1回来てみたかったんだよね」
ここの商店街は、昔は栄えていたものの、時が経つにつれだんだんと人通りが少なくなってしまっている。俺もあまり立ち寄ることはないから、よくこんなところに店があるって見つけたなあと思った。
ドアを押すと、カラン、という音が鳴った。
店の奥から50代くらいに見える優しそうな女性が出てきて、俺たちににこりと微笑んだ。
奥の席に案内され、メニューを手に取る。
「桐山くんは何食べるの?」
「うーん...日替わり定食ですかね。先輩は?」
「わたしも同じのにしようと思ってた!」
満面の笑みでそう言われ、鼓動が速くなる。どうやら俺は、この人の笑顔に弱いらしい。
体温が上昇していくのがわかった。