Pastel Lover

注文してからしばらくして、料理が運ばれてきた。

今日の日替わりメニューは、からあげ定食だった。それも、かなりボリュームのあるもの。同じものを頼んだけど、果たして彼女は食べきれるのだろうかと少し心配になる。



「美味しそう!いただきます!」


「...いただきます」



ふたり両手を合わせて、箸を手に持つ。

食べ始めてすぐ、ちらりと前に座る彼女を盗み見た。



「んー、おいしい!」



彼女は子供みたいな笑顔で、からあげを頬張っていた。その無邪気さが可愛くて、思わず笑みがこぼれた。


そして、ふとあることに気づく。



「...あれ、先輩って左利きなんですか?」


「ん?ああ、そうなの。レオナルド・ダ・ヴィンチもピカソも一緒なんだよ、すごいでしょ」



へへ、と左手を俺に見せながら笑った。どちらも世界的に有名な画家だ。同じ絵を描く物としては嬉しいんだな。左利きってことは初めて知ったけれど。


左利きには天才肌の人が多いと聞くけれど、それもそうかもしれない、と思った。
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