Pastel Lover
「好きです」
突然そう言われて、驚きのあまり思考が停止し、反応するまでに数秒かかってしまった。
好き、って...わたしのことを?
いやそれ以外に何を好きなんだよってなるんだけど、でも混乱しちゃってよくわからなくなってきた。あとからきた動悸がものすごい音を立てている。
「あ、の...わたし、」
「...っ、待ってください!まだ、言わなくていいです」
「...?」
「俺のこと好きじゃないのなんかわかってます。先輩の気持ちを知るために告白したんじゃないんです。ただ、知ってほしくて...」
血の流れる音が、彼の声までも遮ってしまいそう。それに苦しくて、窒息しそうだ。
真剣な目が、逸らすことを許してはくれない。
「俺、まだ頑張りきってないので...だから、頑張らせてください。返事はそれからで」
「...うん」
ポーカーフェイスな彼の頬が赤く染まっているのを初めて見た。
好き、なんて。言われ慣れたと思っていたのに。どうしてこんなにも熱く、染み入るのだろうか。
その答えは、もうすぐそこにあるような気がしていた。