Pastel Lover
わたしの家から駅まで15分はかかる。よってわたしに残された時間は、30分にも満たない。
どうしよう。時間がない。
わたしは一体何時間洋服選びに悩めばいいのか。過去にこんなにも着ていく服に困ったことはないだろう。妥協しなければ間に合わなくなってしまう。
もう!悩んだって服が増えるわけじゃないんだからこれでいい!決めた!
心の中でそう叫んで、急いで着替える。
髪の毛に凝ってる時間も余裕もない。だからと言って何もしないのもあれだから、ざっくりと片側でゆるめに三つ編みをした。いつものポニーテールとはちょっと違ったことをしたいな、なんて思って。
これでいいって決めたはずなのに、なんども鏡の前で自分と睨めっこした。
身支度を終えて時計を見ると、時刻は午前9時13分。ギリギリだ。でもこの時間ならまだ間に合う範囲内。もう洋服に後悔してる暇もない。
「行ってきまーす!」
玄関の戸を押しながらそう叫んで、慌ただしく家を出た。