Pastel Lover
ゆらゆらと20分程度電車に揺られ、漸く待ち合わせの駅に到着した。
先ほど来たメッセージの内容をふと思い出し、改札を抜けて少し離れたところでスマホを取り出した。すると桐山くんから、数分前にメッセージが来ていたことに気が付く。
電車内だったから音を消していたから気づかなかった。
画面を開くと、『着きました』の文字。待たせてしまっては申し訳ないから、慌てて『着きました!』と返事を送った。
辺りをキョロキョロと見回してみた。
だけど桐山くんの姿は見えなくて。待ち合わせって、相手の姿が見えないとこんなにも不安になってしまう。
歩いて探そうと思い1歩足を動かしたとき、スマホがわたしの手の中で震えた。
画面を確認すると、桐山くんから電話がかかってきたと知る。あんまり電話を使うことがないから、妙に緊張する。その相手が桐山くんっていうのにも、だけど。
恐る恐る通話ボタンをタップした。
『____先輩?』
「...も、もしもし」
『今どこにいますか?』
「えっと...駅のすぐ近く」
『わかりました。そっち行くんで待っててください』
「え、わたしもそっち行くよ。どこ?」
「いや、大丈夫です。もう着いたので」
電話からも背後からも同じ声が聞こえて、驚いて振り返ると、そこには意地悪な笑みを浮かべた彼がいた。
「おはようございます、先輩」