Pastel Lover

「お、おはよう...」



びっくりした。何のサプライズなんだ、普通にびっくりした。今日はやけに心臓が疲れる。ただでさえ暑いというのに。

それからわたしの視線は桐山くん全体へと移る。


...私服、だ。



黒のポロシャツにベージュのパンツ、白のハイカットスニーカー。いたってシンプルなその私服は、彼らしいなと思った。

スタイルいいんだなあ。シンプルなのに着こなしてるっていうか。


...桐山くんって、もともと綺麗な顔してるんだよね。


現にチラチラ女の子が見てたりするんだよね。桐山くんは気が付いてなさそうだけど。学校では埋もれてしまっているけれど、彼はかっこいいのだ。



「...先輩」


「えっ?」



じろじろと見すぎてしまったかなと思って、名前を呼ばれて焦る。反射的に顔を上げて背の高い彼の顔を見上げた。

そんなわたしに、彼はふっと微笑んだ。



「...私服。かわいい、です」


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