Pastel Lover
15分くらい歩いて、美術館の前に着いた。わりと近くの美術館だけど、あまり来たことはないからすごく楽しみだ。
ちらりと隣を見れば、彼もまた目の前の大きな建物に目を輝かせていた。
絵が好きなのは共通だもんね。
桐山くんがあんまり子供みたいな顔をしているものだから、少し笑ってしまった。すると不意に彼はこちらを向いた。突然のことに驚きながらも、彼を見つめた。
「今すぐにでも美術館に入りたいとこなんですけど、やっぱり先に飯ですよね?」
...ああ、そうか。
美術館のことばかり考えていたせいで、お昼ご飯がまだだってこと、忘れてた。
確かに、美術館の絵をじっくり鑑賞していたら結構時間がかかる。今から美術館に入ってしまったら、昼食がだいぶ遅くなってしまう。
「うん、そうだね」
「どこか近いところ入りましょうか。何食べたいとかありますか?」
「んー、じゃあ、あそこのレストランは?」
指さした先には、パスタの専門店らしきレストラン。何でもいいって言って相手に押し付けるのはあまり好きじゃないのだ。
「いいですね。じゃあそこで」
彼も同意して、わたしたちはレストランに入り、少し待ってから食事を済ませた。