Pastel Lover
目線は自然とそちらを向く。
それは、ピンクの髪色をした人形のような女の子のストラップ。羽がついているからこれは...妖精、だろうか。
「あの、ほしの...先輩?」
精一杯背伸びしている彼女に、声を掛けた。
すると彼女はなぜか、酷く驚いたような顔で思いきりこちらを振り返った。
「、わ」
「...!」
その反動で、彼女はバランスを崩して小さな悲鳴をあげる。俺の方へ倒れ込む彼女に、咄嗟に手を伸ばした。
小さな背中を抱き留めると、ふわり、甘い香りが俺の鼻をくすぐった。
「ご、ごめん...」
「いえ...大丈夫ですか?」
「うん、ありがと...びっくりした。急に下の名前で呼ばれたから」
「え」
俺から離れながら言った彼女の一言に、今度は俺が驚いて、一時停止した。