Pastel Lover
下の、名前?
...もしかして。
「す、すみません!あの、"ほしの"っててっきり名字かと...!」
さっきの先輩が、"ほしの"と呼んでいたのは、下の名前で。俺はてっきり"星野"という名字なのだと思い込んでいた。まさかあの先輩が呼び捨てにしていたとは、思ってもいなかったのだ。
気づいた途端にカッと血が昇って、手で口を覆った。
そんな俺を見て、彼女は明快に笑って見せた。
「ああ、そうだったのか!そういえば自己紹介もしてなかったね」
彼女はにっと口角を引き上げて、俺を見上げた。
「鈴森、だよ。鈴森星乃。さっきのでかいのは北岡慶哉。あなたは?」
「あ、桐山泰生、です」
「桐山くんね!なんなら星乃先輩でもいいよ?」
「いえ、鈴森先輩で...」
「あはは」
彼女はまた、無邪気に笑った。