Pastel Lover

未だ驚いた表情の先輩。そして俺も、目を見開いた。



「...え、そうなんですか?」



全然知らなかった。朝も帰りも会うことがないから。


この駅へ停車する電車は頻繁に走っているから、いつも会わない時間帯で、ずれていたんだろう。


帰りも、俺が早く終わった時は俺が早い電車に乗って、先輩はそのあとにくる1本遅い電車に乗っていたりしたのかも。あるいは、ホームで気づかなかったとか。

それならもっと早くに気づいていたかった。



「地元一緒って...全然気づかなかった。じゃあ中学は?」


「××中です」


「一緒だ!」


「...中学、同じだったんですね」



初めて高校で出会ったというのは嘘ではないけれど。その前に、俺たちがお互い覚えていないだけで、会っていたかもしれない。こんな先輩がいるなんて全く知らなかった。


中学の頃は、先輩と後輩には壁があったから、あまり先輩たちの話も知らなかった。向こうもたぶん、後輩がどうだとかは、自分と共通の関わりがある人にしか言っていなかっただろう。だから、鈴森先輩の存在も知らなかった。


...駿ですら知らなかったんだもんな。


でも先輩たちの学年では有名だったんだろうな。やっぱり、気づいていたかった。



早くその存在を知っていたかったな。
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