Pastel Lover

ホームルームが終わって放課後になると、俺はいつものように部室へと向かう。



...今日は、話のネタがある。

今朝の貼り出しだ。



普段、俺と先輩が話すときは、先輩から話してくれることがほとんど。だから俺が心配するような沈黙になったりはしない。話すのが苦手だから、これが俺にとっては丁度いいのだが。


やっぱり自分からも話さなくては。



そう決めて、急ぎ足で階段を上がる。今までなら絶対しなかった二段飛ばしで。


ガラリ、ドアに手を掛けたとき、ちょっと息切れした。



絵具の匂いが充満する教室。足を踏み入れてキョロキョロと室内を見渡すも、俺の探す人の姿は見当たらない。


...まだ来ていない、か。



肩を落として自分の描きかけの絵の傍にかばんをおろそうとしたとき。



________ガシャン!




奥の準備室の方から、大きな物音。


かばんを投げるように乱暴に放って、急いでそちらへ向かった。
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