Pastel Lover
「...ありがとう」
桐山くんはいつも冷めてるみたいで、あんまり笑わないし、何考えてるのか全然わかんないけど。
...優しい、んだよね。
ちょっと躊躇いながら、桐山くんの座る隣に、人1人分くらい空けて腰かけた。彼のくれた焼きそばパンの袋を開けると、お腹が鳴ってしまいそうになった。
「じゃあ...いただきます」
「どうぞ」
食べてる間、わたしたちは沈黙する。
人と一緒にいて静かになることは、なんだか気まずいから好きではない。だからわたしはいつも、適当に話題をつくったりするけど、食事中はさすがにできない。
でもやっぱり落ち着かなくて、ちらり、隣の彼を盗み見た。
...桐山、泰生くん。
わたしの部活での後輩だ。
わたしの彼への印象はというと、さっきも言ったように、無口で表情が薄くて、たまに接し方に困る人。
それと、どこか寂しそうな人。