Pastel Lover
その日の部活は、なんだかいつもと違って変だった。
何がって、わたしが。
桐山くんと話すのがなんだか気恥ずかしくて、いつもならうっとうしいくらい人に絡みに行くのに、この日ばっかりはできなかった。
不意に桐山くんと目が合って、心臓が音を立てる。
「鈴森先輩」
「...ど、どうしたの?」
うわ、なんか声上ずった。どうしよう、変に思われていたら。大体どうしてわたしも、こんなに動揺しているんだろう。
「昼の...犯人、もう捕まりましたよ」
「え?どういうこと?」
すぐには理解できなくて、訊き返す。彼は起こった出来事を、淡々とわたしに話していく。
「あのあと友達が階段に行ったらそいつに掴み掛られたらしくて」
「ええっ!だ、大丈夫なの!?」
「はい。すごい弱かったらしいです」