Pastel Lover

その日、部活に行って部長に、村山が休むことを伝えた。理由は本当に知らなかったから、ただそれだけを伝えると、彼はなぜか知ったような様子でわかった、と言った。



たぶん何か、あるんだろうな。

その何かは、俺にはわからないけど。



「えー!今日琴音ちゃん休みなんだ...」



後ろから元気の良い声が聞こえた。その声に反応して振り向くと、鈴森先輩が残念そうな表情で部室の入り口に立って、ドアを封鎖していた。


その真後ろには、北岡先輩。

鈴森先輩の背後にいるからか、余計に大きく見える。



「星乃、邪魔」


「ぎゃ」



北岡先輩が鈴森先輩のポニーテールを軽く引っ張った。彼女は変な声を上げて、ポカポカと北岡先輩を殴っている。

その仲良さげな光景に、一瞬動きが停止する。


...このふたり、仲良いんだよな。


別に、それはいいと思う。いや、多少は羨ましいだとかは思うけど、でも。北岡先輩のこの笑顔を見ていたら。



___________鈴森先輩のことを好きなんじゃないかって。



思ってちょっと、焦ってしまう。
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