Pastel Lover
迎えた月曜日。
駿は朝から浮ついていた。落ち着きがないというか、いつも以上に笑顔で、やけにテンションが高かったけど。
特に楽しみ、ということもなく。
ハイテンションな駿を横目に、俺はただ時間が過ぎていくのを待っていた。
そうしていればあっという間に放課後。
隣ではしゃいでいる奴にしたら、ここまでの時間がとてつもなく長かったらしい。今日いちばんうるさい。そんなに楽しみなのか、弓道部に見学に行くのが。
そもそも俺は、美術部と決めたとはいえ仮入部に行こうとは思っていなかった。見学になんか行かなくても美術部なんて知っている知識だけでいいだろうって。
だけど、駿が絶対に行くべきだとしつこいくらいに、俺に言い張ったのだ。
その強い押しに負けて、渋りながらも行くことを決めたのだ。
「じゃあな、泰生!」
「おー」
興奮気味で教室を飛び出した駿の挨拶を適当に返し、ひとつため息を吐いた。そして、大したものも入っていない軽いかばんを持って、教室を出た。
階段を上がって、3階の廊下、突き当り。
"ART CLUB"と描かれた木の板が飾られているから、すぐにわかった。
ガラリ、音を立ててドアを開ける。
俺の呼吸は、一瞬止まった。