Pastel Lover
「え......」
反応が鈍る。驚きで言葉を発することもままならない。夢なのかとさえ思ってしまった。そのくらい衝撃的で。
いつから?俺の、どこを。
そんな疑問が浮かんでは沈んでゆく。
混乱して固まる俺に対して、坂田先輩は額を押しつけたままで表情は見せなかった。だけど、俺のシャツの袖を掴む手が、震えていた。
それを見て、少しだけ混乱が収まる。
「...すみません。ちょっと、驚いてしまって」
「うん...そうだよね。急にごめんね。でも、言わずにいられなかった。桐山くんが...誰を見ているか、気づいちゃったから」
自分よりも背の低い先輩を見下げ、目を見開いた。
「星乃のこと好きなのかもしれないって...そう思ったら、焦った。伝えなきゃって。あたしも咄嗟で...ごめん」
彼女は焦ったような口調で言い、裾を握る手の力を強めた。