Pastel Lover
心の整理がつかないのは、俺だけじゃない。伝えてくれた先輩の方もそうなんだ。気持ちを伝えるということ、その大きさは俺にだって想像のできるものだ。それを、準備もちゃんとできていないままで、言ったのだ。
...想う人がいる。
それは俺と、坂田先輩の共通点。
気持ちが理解できるからこそ、傷つけてしまうと、そう解っていても、誠実に正直に答えねばと思う。
優しくはない棘のような言葉を返すことが、俺の今できる唯一の優しさになる。
なんて酷な。
俺にとっても、彼女にとっても。
「...先輩の言う通り、鈴森先輩が好きです。だから、気持ちには応えられません」
「.........」
彼女は何も言わなかった。ただ、手の力がなくなって、シャツを握っていた手はするりと落ちて、拳は地面を向いた。