Pastel Lover
思い出すのは、村山と話したこと。
部長は俺のひとことに、下を向いてふっと笑った。そんな彼を、俺はまっすぐに見つめた。目を逸らさずにそうしていると、彼は顔を上げ、言った。
「...うん。正解」
やっぱり、そうか。
最終下校時間間近で、靴箱の近くで人を待つって、なんでか俺にはその相手が坂田先輩だとしか思えなかったんだ。
「俺が坂田のことどう思ってるかって、知ってたのか?」
「、はい。気づいていました」
「そうか...」
村山のことは言えるはずもないから、あたかも自分が気づいていたような言い方をした。部長は、深くため息を吐いた。
「叶わないんだろうなってわかってんだけどね」
「......」
「俺、知っちゃってるんだ」
「...何を、ですか」
「あいつの好きな人」