Pastel Lover

ドキリ、とした。

何もかもを見透かすような、その悲しみを帯びた瞳に。



「......」



思わず黙り込んでしまう。すると部長は、少し重くなりつつあった空気を軽くするように、笑った。



「その様子だと、自分でも勘付いてるんだな」


「...あ、の」


「ああ、ごめん。別にお前は悪くないし、恨んでもない。...ただ、残酷だよなあって」



確かに、残酷だ。

どうして好きな人がいる人を好きになってしまうのか、叶わないと解っていてもやめることはできないのか、自分の感情は制御できないのか。



「確かに、そうですね」


「はは、だよなあ」



話し方とか、そういうのからして、さっき準備室であった出来事のことは知らない様子だ。



恋愛って本当に厄介だ。

いちどその迷路に迷い込んでしまったら、出口を見つけるのは本当に困難で。出口っていうのもいろんな結末があるから、いろんなところにあって。それは最短距離だったり、あるいは遠回りしてしまったり。


それでも止まれなくて、想いはまた走り続けるのだ。



< 97 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop