Pastel Lover
ドキリ、とした。
何もかもを見透かすような、その悲しみを帯びた瞳に。
「......」
思わず黙り込んでしまう。すると部長は、少し重くなりつつあった空気を軽くするように、笑った。
「その様子だと、自分でも勘付いてるんだな」
「...あ、の」
「ああ、ごめん。別にお前は悪くないし、恨んでもない。...ただ、残酷だよなあって」
確かに、残酷だ。
どうして好きな人がいる人を好きになってしまうのか、叶わないと解っていてもやめることはできないのか、自分の感情は制御できないのか。
「確かに、そうですね」
「はは、だよなあ」
話し方とか、そういうのからして、さっき準備室であった出来事のことは知らない様子だ。
恋愛って本当に厄介だ。
いちどその迷路に迷い込んでしまったら、出口を見つけるのは本当に困難で。出口っていうのもいろんな結末があるから、いろんなところにあって。それは最短距離だったり、あるいは遠回りしてしまったり。
それでも止まれなくて、想いはまた走り続けるのだ。