君が為


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それから少し経って、夕御飯……つまり夕餉の時間になった。



夕餉の時間は、全員大広間で取ることになっている。



ただ、一部の人たちを除いては……。



芹沢さんたち……今日もいないみたい。



同じ組の人なのに、別々の場所で食事するなんて、変なの。




「……」



でも、今日は芹沢さんたち以外にもう一人。




藤堂さんの姿がどこにもなかった。




やっぱり昼間の稽古で怒らせちゃったのかな。




せっかく藤堂さんの時間を割いてまで稽古を付けてもらってたのに、私……全然集中できなかったから。



藤堂さん……怒って当然だよね。




「ーーどうした〜、そんな辛気臭い顔して……平助からまた何か言われたんだろ?」



私の隣に膳を置いて、どさっと腰を下ろしたのは永倉 新八さん。




中肉中背でひょろりとしているけど、腕力は人一倍強い。




面倒見のいい知的な近所のお兄さん的人だった。



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