今宵、恋が舞う。
『明日の朝一の会議に出席すること。
時間はいつも通り。遅刻しないこと』
堅物な課長らしく、絵文字も装飾も一切ない。
そんな『いつも通り』に、ほっとしている自分がいた。
この人は、きっと、変わらない。
そう、ふと感じたのだ。
三宅課長こと、三宅颯(みやけ はやて)は、私の所属する経理課の課長である。
ワタナベグループとは、日本三大企業とも言われている会社の一つであり、私のいるメディア広告部門以外にも、IT・教育・建設など多方に力を注いでいる。
そんな三宅課長は、黒縁メガネに前髪はオールバックの、いかに真面目で堅物な課長である。
よく漫画に出てきそうな、典型的な。
しかも、入社して2年で、今にも倒れかけそうだったメディア広告部門を立て直したのだ。
そんな課長だからこそ、部下に慕われ、尊敬され、28という若さで課長になったことを否定する者は誰もいない。
そして、私も、そんな課長を尊敬しているのだ。出来ることなら、ずっと課長の下で働いていたいと思ってもいる。