今宵、恋が舞う。
冷徹な鬼
「……遅い」
「す、すみませんでした!!!」
あの後、目覚まし時計もかけずに寝てしまった私は、課長からの電話で目を覚ました。
しかも、留守電で。
『吉永?まだ来ていないようだが、遅刻だけはするなよ?いいな?』
『吉永!何をやっているんだ!企画会議はもう始まってるんだぞ?!早く来い!』
ご丁寧に2本も。
そして今、私は、課長のデスクの前で必死に頭を下げているところである。
「今回の企画会議は、すごく大事なものだ、とは何度も伝えてあっただろう?」
「はい、分かっています」
「なのに、寝坊をするなど……お前は社会人としての意識が足りないのか?!」
「本当に、すみません」
同じフロアの人達は、もう課長の怒号に慣れてしまっているため、誰も気にはしていない。