涙色に染まる鳥居の下で
優子
年明け間もない1月半ばの土曜日。
冷たい風が吹きすさぶ午後、突然リビングの電話が鳴った。
慌てて私が受話器を取る。
他のみんなは外出中だからだ。
文彦は部活があるので、武文が車で駅まで送りにいったし、奈津美は友達の家へと出かけていた。
「もしもし」
私が言うと、電話先の人は焦った様子で早口に喋る。
そして……私はその内容に耳を疑った。
え?!
事故?!
武文の運転する車が……?!
気が動転して、言葉がうまく出てこない。
そんな私のそばには、いつの間にかトマトが寄り添ってくれていた。
トマトはしきりに「くんくん」と心配げに鳴いている。
トマトのお陰で私は少しだけ落ち着きを取り戻すことができた。
「分かりました。駅前の総合病院ですね?! すぐに向かいます!」
トマトは、ずっと鳴き続けたままだ。
もしかしたら、トマトにも事情がある程度分かっているのかもしれないというような気がした。
生まれたときからあの二人と一緒だったから、何か感じているものがあるのかもしれない。
きっと無事を祈ってくれているのだろう……そんな風に私には思える。
そして、私はすぐに奈津美にも電話で知らせ、病院へ至急向かうようにと伝えた。
冷たい風が吹きすさぶ午後、突然リビングの電話が鳴った。
慌てて私が受話器を取る。
他のみんなは外出中だからだ。
文彦は部活があるので、武文が車で駅まで送りにいったし、奈津美は友達の家へと出かけていた。
「もしもし」
私が言うと、電話先の人は焦った様子で早口に喋る。
そして……私はその内容に耳を疑った。
え?!
事故?!
武文の運転する車が……?!
気が動転して、言葉がうまく出てこない。
そんな私のそばには、いつの間にかトマトが寄り添ってくれていた。
トマトはしきりに「くんくん」と心配げに鳴いている。
トマトのお陰で私は少しだけ落ち着きを取り戻すことができた。
「分かりました。駅前の総合病院ですね?! すぐに向かいます!」
トマトは、ずっと鳴き続けたままだ。
もしかしたら、トマトにも事情がある程度分かっているのかもしれないというような気がした。
生まれたときからあの二人と一緒だったから、何か感じているものがあるのかもしれない。
きっと無事を祈ってくれているのだろう……そんな風に私には思える。
そして、私はすぐに奈津美にも電話で知らせ、病院へ至急向かうようにと伝えた。