裏道万屋の事情
「海には俺等の海の家目当てで来る客もかなり居る。毎年恒例で、店オープン前には特設ステージで自己紹介とトークで場を盛り上げてくからよろしくな!!」

『何それぇっ???!!!』

「めんどくせぇな。」

「まるでアイドルみたいだねー。」

「そう!!!!俺等は正に真夏限りの海のアイドルだ!!その盛り上がり方で海の家にどんだけ客が来るか懸かってるから真剣に頼むぜ?!」

「しゃぁねぇなー。ま、依頼だからな。」

「歌の無いライブみたいな感じかな??何か楽しそうだな。」

『嫌ですよそんな目立つの!!女だってバレたらどーすんだっての!!!!』

「ノープロブレムさ、菜男。今の菜男ならどっからどー見ても男にしか見えないからっ。じゃぁ明日の朝5時に車で迎えに来るからよろしく〜!!」



早見さんはそう言って帰って行った。



あぁ………

何であたしがこんな目に遭わなくちゃならんのですか―――






ピッ プルルルルル…



(「はいはい、菜子??明日なんだけど前橋も誘っといたから。それと時間は…」)

『俺は男になってしまいました。明日は一緒に海へ行けません。』

(「は??」)

『俺の事は探さないで下さい。』

(「ちょっ菜子何訳分かんないこと言ってんの?!もう予約してんだから――」)

『俺の分まで魚と戯れてきてくれっ………!!!!』





ガチャッ ツーツーツー…











「…って、おい…訳分かんないから…。…はぁー…前橋には黙っとかなきゃだわ。菜子の代わりに理恵でも誘うか。」
< 106 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop