裏道万屋の事情
それから仕事に戻ったあたし達はまた忙しい中働き続け―――



「みんなお疲れっ!!やっぱ初日はお客さん毎年多いなぁ。」



午後八時に閉店。

長かった……。

ってか、明日からもずっとこんな働く訳――?!

無理っ!!
死ぬ死ぬ死ぬっ!!!!



それにしても、折角海に来たってのに遊べないなんてそんなのつまんな過ぎる!!

今からでも海に足だけでも浸かりに行こうかな??
静かな夜の海も綺麗そうだしね!!


『ちょっと出掛けてきまーす。』



ちなみに泊まる場所は海からすぐ近くのユウさんとヨリさんの家。
二人は一緒に住んでいるらしい。仲良しだなぁ。



「どこへ行くんだい??」

『海です。ちょっとだけでも海水に触れてこようかと思いまして。』

「そうかいそうかい!!何ならこの僕が一緒に行ってあげなくもないよ!!」

『結構です!!一人が良いんで!!』


冗談じゃないっ!!

ヨリさんなんかが来たら癒しの空間もストレスの温床に成り果てちゃうじゃんかっ!!!!


「そうかい??僕の誘いを断るなんて、ナオは人生損しているねっ!!」


いやいや損してるなんて思ったことないですから。
むしろあなたと出会ったことで損し始めましたから。


「俺も行きたい。」


嵐が言った。


『いーよ。あたしも一人つまんないなーって思ってたとこだしさ〜。行こっ!!』

「うん。」

「おや??今君一人が良いって言ってなかったかい??」



ええ、言いましたとも。

でもそんなんあなたの誘いを断る口実に過ぎませんから!!残念っ!!!!

結構前にどっかで聞いたことがあるようなそんなフレーズで心の中で突っ込みながら、あたしは嵐と共に海へ向かった。
< 118 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop