裏道万屋の事情
『海だあ〜〜〜!!!!』
海へ再びやって来たあたしはテンションが上がる。
だって今日は海に居たのに全然海に触ってないんだもん。
今初めて海に来たようなもんだよ!!
足だけ海に入った。
『わ、冷たっ!!嵐も来なよーっ!!』
呼ぶと嵐も海へ入る。
ってか海に触って無反応?!
結構冷たいと思うんですけどっ?!相変わらず無表情だなぁこの人。
「海、って初めて来た。」
『そうなの?!』
「うん。テレビでしか見たこと無かった。けど…。」
『うん。』
「テレビではあんなにちっぽけで濁って見えた海だったのに……本当はこんなにも広くて深くて…綺麗なものだったんだ―――。」
『………うん。』
ザザーン…
静かに響く波の音。
不思議だよね。
昼にはあんなに騒ぐこの場所も、夜にはこんなにも落ち着く場所に変わるんだ。
実際見ないと分からないことってすごいたくさんある。
テレビだけじゃ、不十分。
中の世界から外の世界へ出て自分でその世界を目の当たりにすることって普通なことのようだけど、でもそれって実は凄く意味のあることなんじゃないかな??
嵐がこう思えたように。
こう変われたように。
「菜子。」
『??』
「ありがと。」
『え、何が??』
「俺も来たかった、海。本物の海をずっと見てみたかった。菜子のおかげ。」
『あぁ。いやいやこっちが巻き込んじゃったようなもんだしさっ!!むしろごめんって感じだし!!』
「楽しい。」
『ほ??』
「みんなとここに来れて、菜子とここに来れて。楽しい。」
波の音が響くすっかり暗くなっているこの海の中で、嵐が笑ったのをあたしは確かに見た。
今までで三度目に見た笑顔。
あたりは暗いけど、その笑顔に陰りなんて全く無い。
あたしもつられて笑顔になる。
あまり乗り気じゃなかった依頼だけど――
案外良いもんなのかな…??
そう思えるのは、広くて深くて綺麗な―――
『この海のお陰かもねっ。』
教訓 10... -end-
海へ再びやって来たあたしはテンションが上がる。
だって今日は海に居たのに全然海に触ってないんだもん。
今初めて海に来たようなもんだよ!!
足だけ海に入った。
『わ、冷たっ!!嵐も来なよーっ!!』
呼ぶと嵐も海へ入る。
ってか海に触って無反応?!
結構冷たいと思うんですけどっ?!相変わらず無表情だなぁこの人。
「海、って初めて来た。」
『そうなの?!』
「うん。テレビでしか見たこと無かった。けど…。」
『うん。』
「テレビではあんなにちっぽけで濁って見えた海だったのに……本当はこんなにも広くて深くて…綺麗なものだったんだ―――。」
『………うん。』
ザザーン…
静かに響く波の音。
不思議だよね。
昼にはあんなに騒ぐこの場所も、夜にはこんなにも落ち着く場所に変わるんだ。
実際見ないと分からないことってすごいたくさんある。
テレビだけじゃ、不十分。
中の世界から外の世界へ出て自分でその世界を目の当たりにすることって普通なことのようだけど、でもそれって実は凄く意味のあることなんじゃないかな??
嵐がこう思えたように。
こう変われたように。
「菜子。」
『??』
「ありがと。」
『え、何が??』
「俺も来たかった、海。本物の海をずっと見てみたかった。菜子のおかげ。」
『あぁ。いやいやこっちが巻き込んじゃったようなもんだしさっ!!むしろごめんって感じだし!!』
「楽しい。」
『ほ??』
「みんなとここに来れて、菜子とここに来れて。楽しい。」
波の音が響くすっかり暗くなっているこの海の中で、嵐が笑ったのをあたしは確かに見た。
今までで三度目に見た笑顔。
あたりは暗いけど、その笑顔に陰りなんて全く無い。
あたしもつられて笑顔になる。
あまり乗り気じゃなかった依頼だけど――
案外良いもんなのかな…??
そう思えるのは、広くて深くて綺麗な―――
『この海のお陰かもねっ。』
教訓 10... -end-