裏道万屋の事情
教訓 12...

男と男の勝負に女の手出しは無用。

ピリリリリ……



携帯で設定しておいたアラーム音が鳴り響いた。


昨日しばらくは眠りにつけなかったものの、結局最終的にはいつの間にか眠っていたらしい。


嵐は携帯の音に全く気付いてないらしく、起きるどころか微動だにしない。



『ぅ〜〜〜〜〜……。』



あたしは手探りで携帯を探し出し、アラームを切った。



『ぅー…後5分だけ…。』



そう呟いてあたしが二度寝しようとしたその時…、



ガチャッ



「グッモーニンッ☆青い春を満喫中の諸君!!よく眠れたかい?!そして今、諸君は電話で済まそうとしない僕の良心的なモーニングコールで目覚めスッキリだろうね!!!!」


『……………。』


あたしは布団の中で顔を引きつらせる。

………出た…悪の根源―――

朝っぱらからうざ過ぎる程のテンション。

ってか、お前のせいで目覚めスッキリどころか最悪だっての!!!!



「ほらほら今日は二人で遊びに行くのだろう??さぁ早く起きたまえっ。今起きないと遅くなってしまう!!」



………まぁ…一理ある。

確かにここで二度寝すると完璧待ち合わせに間に合わなそうだ。

すっぽかした後の樹里の鬼のような形相が目に浮かぶ―――…。

…恐い。うん、恐いなこれ。

仕方ない。起きるか…。


あたしは上半身を起こす。

アラーム音では全く反応しなかった嵐もヨリさんの騒がしいモーニングコールには適わなかったのか、むくりと起きた。


うーむ……

やはり悪の根源からは凄まじいパワーが発せられるらしい―――


厄介極まりない…。
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