裏道万屋の事情
あたしは輝さんの視線に気付かないフリをし、両手に一本ずつ持った手持ち花火に火を点けた。

鮮やかな光が弾ける。



『二刀流〜♪』

「「菜子、火を――。…!!」」



突然自分の両側からタイミング良くハモった言葉が聞こえる。

左右を見ると、あたしを挟んでお互いを見合う嵐と諒。



「……。」

「……。」

『……??』

「…菜子の頭上に火花が見える…。」



何だ??

どーしちゃったのこの二人。



「菜子ちゃんっ。」



振り返ると居たのは弘さん。



『何ですか??』

「ちょっと二人で話さない??」

『はい、いーですよ。』



何だろう。
弘さんがそう言うのって珍しいなぁ〜。



『どうかしたんですか??』

「ん??まぁたまにはゆっくり話そうかなと思ってね。」



ニコッと笑顔でそう言う弘さん。
弘さんの笑顔って何か凄く安心するんだよね。



「最近調子はどう??」

『ん〜まぁボチボチですかね。でもやっと今の環境に慣れてきましたよ。』

「ははっ、そういえば菜子ちゃん色々大変だったみたいだしねーって今もか。」

『いやでも今は弘さん達の家に住まわせてもらえて実際助かってるんで平気ですよ!!ってかむしろ前の生活より落ち着いてます!!!!』



何せ家は空手道場。

親には毎日のように何かしら手伝わされたりしてたもんね。

小さい子達の指導とか小さい子達の指導とか小さい子達の指導とか。

あれおかしいな小さい子達の指導しか思いつかないやっ!!

まぁ要は小さい子達の指導とかしてた訳ですよ。

毎日忙しかったよ、女子高生のハズなのにさっ。


今思えばあの頃は大変だったなぁー………。(遠い目)
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