裏道万屋の事情
「菜子ちゃん。」

『はい??』

「また二人で話そうね。この事以外でも何でも、僕で良ければいつでも話聞くからさー。」

『あ、ありがとうございます!!』



な…何て良い人なんだ!!

あんたに一生付いていきますぜっ兄貴!!!!



弘さんの爪の垢を煎じて輝さんに飲ましてやりたい。

切実に。



「んじゃぁ俺等も帰りますか!!」

「うむ。早く我が家へ戻ろうではないかっ。そしてもちろん一番風呂はこの僕さっ!!!!」

「どーでもいーから早く帰るぞ。」



みんな歩きだした。





ってか―――



させるかっ!!!!


一番風呂はレディーファーストでこのあたしだっ!!



そう思ったあたしが走りだそうとしたその瞬間、





ぐいっ





『は??』



嵐に腕を掴まれ、家とは逆方向に引っ張られるあたし。

輝さん達はそんなあたし達には気付かずどんどん家へと足を進めていっている。




うっそ〜〜ん???!!!


待てやぁ!!!

一番風呂はあたしのもんだっ!!!!!!



ってかこの人どこ行く気??

軽く拉致られてね??あたし。





『嵐どこ行くの?!』

「そこ。」



いやそこってどこだよ答えになってねーよ。



あたしは一番風呂は仕方なく諦めて、嵐に従って付いていくことにした。



不思議ワールドの住人には何を言っても通用しませんからね、うん。
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