裏道万屋の事情
「万屋さん!!」



その声にあたし達は振り返ると、袴姿の佐野さんがこちらを見て立っていた。



『袴姿ってことは佐野さん…』

「実は私この神社の管理人なんです。」



そうだったのか!!


ってか佐野さんめっちゃ似合ってるなぁー。

正に巫女って感じ。



「今日のお祭りは９時までなので、それまでお願いしますね。終わったらあの建物まで来てください。」



そう言って佐野さんは木造の小さい建物を指差した。

どうやらそこはお守りとかを売っているところらしい。


「あぁ、任せとけ。」

「じゃあ見廻り行ってきますねー。」

「はい。よろしくお願いします。」



佐野さんはお辞儀をするとその建物へ戻っていった。



「なぁ、菜子。」

『何??諒。』

「あの人がもしかして万屋に仕事頼んだ人なのか??」

『うん、そーだよ。お祭りの見廻りを頼まれたんだ。』

「ふーん…万屋ってそういうことするのか。」

『別に具体的に仕事内容が決まってる訳じゃないよ。依頼人の要望にできる限りのことは応えらんないと、この仕事はやってけないみたい。』

「大変なんだな、万屋って…。」



ホント、いつもいつも全く違う内容の依頼にすぐ対応できるんだからすごいよね。

輝さんと弘さんは…。





ここまで来るのはきっとかなり大変だったんだと思う。


でも２人は普段そんなことを感じさせないような振る舞いだから、余計すごいと思うんだ。
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