裏道万屋の事情
菜子、樹里、輝明、弘久の4人が去った後の射的の店では―――
―――スパパパパパパパパパーン!!!!―――
「「もう一回!!!!!!」」
「はいよ。…兄ちゃん達まだ気が済まねぇのかい。」
一心不乱に大きめのクマ之助のぬいぐるみを狙う、どう見てももうクマ之助に夢中になる年ではない少年が2人。
しかも両者全く諦めない。
その若干奇妙な光景に、お店の周りにはたくさんのギャラリーが集まり始めた。
「嵐まだ諦めないのかよ??」
一回銃を少し下げて諒が尋ねると、嵐も銃を少し下げた。
「…この前の勝負の続きだし、あのクマ絶対取る。諒こそ諦めないの??」
「俺は最後までやり抜かないと気が済まないタイプな訳。つまり絶対諦めないっつーこと。」
「…奇遇。俺も同じ。」
笑ってお互いを見合うと、次の瞬間、
―――スパパパパパパパパパーン!!!!!!―――
勝負がまた再開した。
「…こりゃダメだな。全く、若いねぇ〜………。」
お店のおじさんは少しため息をついて、白熱したバトルを繰り広げる2人の様子を傍観していた。