裏道万屋の事情
「それから俺はその人の家に置いてもらってたんだ。その家が今の万屋だ。元々万屋をしてたのはその人で、俺はそれを引き継いで今に至ったっつー訳。で、その人なら菜子に会ったとき家に置いてやるんじゃないかと思ってよ…。」
「…そんなことが…。その人は、今は…??」
――その人は………
『輝明』さんは、
今は…――
輝明は閉じていた瞳を開き、立ち上がって言った。
「…まぁ、それはまた機会があれば、な。」
それから、輝明は樹里の頭にポンと手を置いた。
「あいつにはお前からはこのこと何も言うじゃねぇぞ??んじゃ、そろそろ嵐達のとこ戻るぞ。」
そう言って輝明は歩き出す。
「(…不覚だ……。)」
樹里はまだ立ち上がれずにいた。
イケメンに浴衣を誉められて嬉しくなったことは否定しないが、最初は菜子に輝明さんのことを好きな素振りを見せていただけ。
別に本当に好きな訳じゃなかった。
本当の目的は輝明さんに菜子のことについて聞き出すため。
何で見ず知らずの菜子のことを預かろうと思ったのか…。
これでもちょっとは菜子のことが心配だったんだ。
あたしが輝明さんのことが好きだと知れば、菜子のことだから2人にさせようとすると思った。
菜子はやはり思った通りの行動を起こした。
あたしには菜子の思考パターンなんてお見通しだからね。
計画通り輝明さんの話を聞くことができた。
けど……………
「(もっと輝明さんのこと知りたい、って思っちゃったじゃん…)」
「おい、早く行くぞ。」
「あ…はいっ!!」
樹里は慌てて輝明の後を追った。
「…そんなことが…。その人は、今は…??」
――その人は………
『輝明』さんは、
今は…――
輝明は閉じていた瞳を開き、立ち上がって言った。
「…まぁ、それはまた機会があれば、な。」
それから、輝明は樹里の頭にポンと手を置いた。
「あいつにはお前からはこのこと何も言うじゃねぇぞ??んじゃ、そろそろ嵐達のとこ戻るぞ。」
そう言って輝明は歩き出す。
「(…不覚だ……。)」
樹里はまだ立ち上がれずにいた。
イケメンに浴衣を誉められて嬉しくなったことは否定しないが、最初は菜子に輝明さんのことを好きな素振りを見せていただけ。
別に本当に好きな訳じゃなかった。
本当の目的は輝明さんに菜子のことについて聞き出すため。
何で見ず知らずの菜子のことを預かろうと思ったのか…。
これでもちょっとは菜子のことが心配だったんだ。
あたしが輝明さんのことが好きだと知れば、菜子のことだから2人にさせようとすると思った。
菜子はやはり思った通りの行動を起こした。
あたしには菜子の思考パターンなんてお見通しだからね。
計画通り輝明さんの話を聞くことができた。
けど……………
「(もっと輝明さんのこと知りたい、って思っちゃったじゃん…)」
「おい、早く行くぞ。」
「あ…はいっ!!」
樹里は慌てて輝明の後を追った。