裏道万屋の事情
そういえば、輝さんも弘さんも嵐も、過去には一体何があったんだろう…。



これは、知りたいようで、でも何だか自分は知ってはいけないような気がして――



いつも後一歩踏み出せないでいる事。





今あたしが言えることは、ただひとつ。











みんな人より重い過去を背負っているんだということ。



輝さんや嵐の過去は今までの中で軽く触れたことがあった。



弘さんは2人とは違って、確定的な何かを聞いたことはない。



でもさ、やっぱ分かるんだよね。







どことなく3人は似てるんだ。



顔が、とか、

仕草が、とかじゃなくて。





言葉では言い表せないような、『何か』が似ている。





























あたしはいつか3人の抱える過去を知ることができるのかな。



それを知ってアドバイスするとか、そんな大それたことはできもしないし、ましてやしたいとも思わない。



ただ、あたしは――








それを抱えるみんなを少しでも助けられる、支えの一部になりたいんだ。


あたしだけで支えられるなんて、そんな風には当然思わない。





だからあたしは、少しだけでも力になれるように頑張りたい。









今は万屋の仕事を手伝うことがそうなんじゃないかと思う。



だからあたしは万屋の仕事を頑張っていこう。










みんなが過去をあたしに話してくれて、あたしの助けなんかまるで必要がなくなるその時まで―――。
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