裏道万屋の事情
あたしはある家の目の前に立った。



ほぼ無意識に足がここへと向かってしまった。



けど…


いきなり来ちゃって、どうしよ……





























「叶様…??」



あたしを呼ぶその声に振り返ると――
















『あれ…確か、愛羅によく気絶させられてた…』

「あ……そのことで覚えていらしたんですね…高階です。」

『多分読者の8割方名前覚えてないと思いますよ、高島さん。』

「高階です。素で落ち込みそうなのですが…。」



そこには手に紙袋を持った七瀬川家の執事、高階さんがいた。


あたしの第一声に若干落ち込んでる気がしなくも無い。












――そう。


あたしは今アリア化粧品会社の社長の家――もとい、愛羅の家の前に来ていた。



「それよりお久し振りですね。どうかされたんですか??」

『えーっと…』

「もしかしてお嬢様に会いにいらしたのですか??」

『あ、いや…』

「今お嬢様は丁度お勉強のお時間が終了したところです。折角ですからどうぞお嬢様にお会いになって下さい。」



高階さんは笑顔でそう言うと、門を開けて中に入るよう促してくれた。





何となく愛羅に会いたくなったあたし。



高階さんのご好意に甘えてあがらせてもらうことにした。
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