裏道万屋の事情
『ヒナー。』

「あ、ナオ。どうだった?!」

『嵐は今ある洗い物が終わったらすぐ休憩だって。で、俺は――』

「じゃあもうすぐ終わりだよね??私嵐が休憩になるまでここで待ってるよ。あ、オレンジジュース注文しても良いかな?!」

『あ、うん…分かった。今持ってくるよ。』



何つーか…


ヒナ、本当に嵐だけに会いに来た感じがするのはあたしだけ…??



オレンジジュースを用意してヒナの元へ向かおうとすると、丁度休憩に入ったらしい嵐とばったり会った。



『休憩??』

「………ん。」

『今、ヒナが嵐のことあっちのテーブルで待ってるよ。』

「…何で??」

『何でって…昨日来てくれるって言ってたじゃん。行ってきなよ。』

「…まぁ、あんたに言われなくても行くけど。」



――…ズキン――









『――嵐っ!!!!』



あたしはヒナのところへ行こうとしている嵐を咄嗟に呼び止めた。



「…??」



うざったそうな顔をしてあたしの方を振り返る嵐。



『嵐は、さ………





ヒナのこと……好き??』



――何でそんなこと聞いているんだろう。


自分が自分でなくなってしまったかのように、無意識にそんなことを言っていた。





























「………まぁ、あんたよりは。」



嵐はそう言うとヒナの方へ行ってしまった。
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