裏道万屋の事情
盛り付けをしていた手を止めた。体が凍り付く。



親が………いない――??



それって、一体どういう――…



「おーいメシまだか??お、できてんじゃん。じゃぁもうメシにしようぜ。」


輝さんがキッチンに入ってきた。
けど、あたしは何も反応できなかった。


「おい。菜子…??どーかしたのか…??」


輝さんはあたしに心配そうな声で話し掛けてきた。


輝さん。

嵐はどうして親がいないんですか―――


…なんて、嵐の前で聞ける訳がない……。


『えっ??いえ別に何も!!嵐とだるまさんが転んだしてたんですよ〜!!!!』

「はあっ?!料理中に遊んでんじゃねえぇっ!!!!ったく…腹減ってんだからさっさと食うぞ!!!!」

『あいあいさ〜!!』



それから四人で夕飯を食べたけど、あたしはどんな会話をしたか覚えていない。


ただ、嵐のあの言葉が頭の中にはっきりと刻み付いて離れなかった――。
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