裏道万屋の事情
『愛羅は外に出ることはできないの??』
「いえ…出掛けたいと言えば外に出掛けられます。けど、必ず誰か付き添いの人が一緒に来るんです。…私は普通の女の子と同じように、自由に自分の好きなとこへ行ったり友達と遊んだりしたいんです……!!」
『そうだよね…。ずっと誰かに見張られてるんじゃ、息苦しいもんね。』
どうにかしてあげたいけど…どうしたら良いんだろう。
何もしてあげられない自分の無力さに腹が立つ。
「…でも、今日は久しぶりに私と同じくらいの年令の女の子と…菜子と話せて凄く楽しかったです!!…良かったら、私とお友達になって頂けませんか…??」
――愛羅………。
『何言ってんのっ!!愛羅とあたしはさっき会った瞬間からもう友達でしょ??!!そんなん改めて言うことないってば!!』
あたしは愛羅にピースを向けて最高の笑顔で言った。
「…………はいっ!!ありがとう…菜子。」
目に涙を溜めながら、愛羅もあたしに本物の天使のように笑いかけてくれた。
あたし、この子に何かしてあげたいよ…。
『じゃぁ、今日はそろそろ…。また来ていいかな??ってか、絶対来るね!!!!』
愛羅は待ってます、と言いながらあたし達が部屋から出てドアを閉めるまで、ずっと笑顔で手を振ってくれていた。