裏道万屋の事情
あたしは弘さんと二人で夕飯を作った。

嵐は本当にあたし達が夕飯を作っている過程をただ見ていた。



…マジで謎だよこの人は…。

次は意地でも手伝わせてやろう。







夕飯を食べ終えて、使った食器を洗っていると嵐がやってきた。


「菜子。」

『挨拶は?!』

「…ちょりっす??」

『うむ、よろしい!!で、何??』

「菜子って明日学校??」

『そーだよ。』

「学校どこ??」

『嵐って青葉高だよね??あたしはすぐ近くの、青葉高の向かい側の通りにある西高だよ。青葉高から見えるっしょ??』

「明日朝一緒に学校行こ。」

『はいはい………って、えっ…??!!』


あたしが聞き返したときには嵐は既にキッチンからいなくなっていた。

言い逃げか???!!!





ってか―――


あたし今誘われた??
誘われたよね????
あんなにあっさりと??








結局嵐のペースに飲み込まれるあたしはいつもたじたじで………。

本人はわざとじゃなく、絶対無自覚だろうけど。




嵐と話してると本当調子狂うな、あたし―――



何か変だなぁ…

あたしらしくもない。










何だかもやもやするこの気持ちが何なのか。


あたしがその正体に気付くのは、


まだまだずっと先のこと――
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