裏道万屋の事情
「おはよう。今日は早いね。学校だからかな??」


そう言ってキッチンに入ってきた弘さん。


『おはようございます。まぁそれもですけど、何か珍しく早く目覚めちゃって。』

「へぇー。……何かあったの??考えごととかしてると何となく眠りが浅くなったりするよね。」

『いえ、別に特に、は…??あれ…もしかして――』


あたしは寝る前ずっと、嵐から一緒に登校しようと誘われたことをかなり気にしてて、それでいつの間にか寝ていた。

ってことはそれが早く起きた原因…??


何かあたしマジで嵐に振り回されてばっかじゃん!!


「なになに〜?!何か百面相しちゃってさー。何かあったんだ??」

『いやー何かあったというか………朝一緒に登校しようって嵐に誘われたんですよ。』

「嵐くんが…??」

『はい。昨日の夕飯の後に。』

「…そう…そうか、うん。」


弘さんは一人で頷いて何か納得したような素振り。

気になるんですけど…。


『何ですか??』

「いや。別に何も??」


いやいやちょっとあんた。

別にってあんだけ納得してたくせにシラ切り通すつもりなんですか。


「まぁまぁいーじゃん。それより菜子ちゃんってやっぱりお弁当二つ食べるんだ??」

『そうそう、最近食欲すごくって…ってそんな訳無いじゃないですか!!しかも何です?!そのやっぱりってのは!!!!』


最近の弘さん、何か輝さんに似てきた気が…いや実はこれが本性―――??!!


『いくらあたしでも一つで十分ですって!!これは嵐にもついでにと思って。』

「………ほー。そっかうんうん。」


何だその間は……??

そう言った弘さんは何をしにきたのかよく分からないままキッチンから出ていった。


何だ…??

弘さん変なの。
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