裏道万屋の事情
暴れだした心臓をどうにか鎮めたあたしは校舎に向かって歩き始めた。


……………。

……………??





って……あれ……??

あたし何か大事なこと忘れてるような―――



右手に持つ手提げのサブバッグに目を向ける。

中には朝作った二つのお弁当。


二つの………

お弁当………??


……………………………。









『ギャ――――――ス!!!!!!』







すっかりお弁当の存在を忘れていたあたしは奇声を発して周りの生徒の視線を浴びまくった。



と同時に慌てて嵐を追い掛ける。

けど、時既に遅し……。

嵐の姿はもうどこにも見当たらなかった。



ちょっと〜〜〜!!!!

このお弁当どーすんのっ?!
折角二つ作ったんですけど…。



さすがのあたしも男子校である青葉高に一人で乗り込む勇気は出ず、あきらめてまた学校に戻り自分の教室へと向かった。
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